この記事で分かること
まず結論:業績分析は「3つの質問」に答えるだけ
決算の数字を全部覚える必要はありません。まずは次の3つに答えられれば十分です。
- ① 売上は伸びている?(需要があるか、事業が広がっているか)
- ② 利益は残っている?(同じ売上でも、利益率が低いと苦しい)
- ③ それは続きそう?(一時的な要因か、構造的に強いのか)
売上と利益の違い:初心者が最初につまずくポイント
売上=稼いだ総額、利益=残ったお金です。
売上が増えても、原価や人件費、広告費が増えれば利益は増えません。
よくある誤解
- 「売上が伸びてる=良い会社」→ 利益が残ってるかが重要
- 「黒字なら安心」→ 黒字でも利益率が低いと不安定
- 「利益が増えた=強い」→ 一時的な要因(臨時収益など)かも
利益の種類:どの利益が「本業の強さ」か
「利益」といっても種類があります。初心者はまず営業利益(本業)を軸にすると迷いにくいです。
| 用語 | ざっくり何? | ここが増えると嬉しい | 注意ポイント |
|---|---|---|---|
| 売上総利益(粗利) | 売上 − 原価 | 商品・サービスの“儲けやすさ”が改善している | 値上げ/値下げ、原材料高の影響を受ける |
| 営業利益 | 粗利 − 販管費(人件費・広告費など) | 本業の稼ぐ力が強い(最優先で見る) | 成長投資で一時的に落ちることもある(理由を見る) |
| 経常利益 | 営業利益 ± 営業外(受取利息など) | 事業全体が安定している | 金融損益の影響が混ざる |
| 当期純利益 | 最終的に会社に残った利益 | 株主にとっての成果(EPSにもつながる) | 特別損益(臨時の利益/損失)でブレやすい |
「特別損益」ってなに?(一過性のブレの正体)
たとえば土地の売却益や、災害損失、減損などは毎年起きるとは限らないため、純利益を大きく動かすことがあります。
初心者は、まず営業利益の増減理由を押さえた上で、純利益のブレを確認すると安全です。
利益率の見方:同じ売上でも「残り方」が違う
利益率は、会社の「体力」を見るのに便利です。売上が大きくても利益率が薄いと、少しの逆風で苦しくなります。
最低限これだけ(式は暗記しなくてOK)
- 粗利率= 売上総利益 ÷ 売上(商品自体の儲けやすさ)
- 営業利益率= 営業利益 ÷ 売上(本業の稼ぐ力)
| 項目 | 会社A(例) | 会社B(例) | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 売上 | 100 | 100 | 規模は同じ |
| 営業利益 | 10 | 3 | 本業の稼ぐ力が違う |
| 営業利益率 | 10% | 3% | 逆風への強さ・値下げ耐性の差が出やすい |
初心者向け:3分でできる「業績チェック」手順
「何から見ればいいか分からない」を解消するために、見る順番を固定します。 まずはこの型だけでOKです。
- 直近の決算(または決算短信のサマリー)で売上と営業利益の増減を確認する
- 増減の理由を会社の説明(セグメント・事業別)で読む
- 利益率(粗利率/営業利益率)が改善・悪化しているかを見る
- 純利益が大きく動いていたら、特別損益など一過性要因がないか確認する
- 来期見通し(会社予想)がある場合、強気/慎重かを把握して“持続性”を考える
判断のコツ(数字を“丸暗記”しない)
- 増収でも減益なら、原価上昇・販管費増・値下げなどの理由を探す
- 減収でも増益なら、値上げ・高付加価値化・コスト改善などの可能性
- 利益率が落ち続けるときは「構造問題」になっていないか要注意
- 成長企業は投資で一時的に利益が落ちることもあるので、中身(理由)を読む
よくある失敗:ここで事故りやすい
- 売上だけ見て「成長してる」と判断してしまう(利益率もセット)
- 純利益だけ見て一喜一憂する(特別損益でブレやすい)
- 1期だけ見て結論を出す(短期のブレが大きい業種もある)
- 数字の比較対象がない(過去・同業・会社予想などと比べる)
よくある質問(FAQ)
Q. 初心者は「どの利益」を一番見ればいい?
まずは営業利益(本業の稼ぐ力)がおすすめです。次に、利益率(営業利益率)が改善しているかを確認すると理解が早いです。
Q. 売上が伸びてるのに利益が減るのはなぜ?
代表例は、原価上昇(材料高)、値下げ、広告・人件費など販管費の増加です。
「会社が何に投資したのか」「一時的か構造的か」を読むのがポイントです。
Q. 「特別損益」があると、もう参考にならない?
参考にならないわけではありませんが、毎年起きるとは限らないため、純利益だけで判断しない方が安全です。
まず営業利益→次に特別損益の影響、の順で整理すると迷いません。
Q. どこで決算情報を見ればいい?
基本は企業のIRページにある決算短信や決算説明資料です。まずは「サマリー(要約)」と「業績の概況」だけ読めば十分です。
次に読む(関連ページ)
業績分析の土台ができたら、「数字が載っている書類(決算書)」の読み方に進むと一気に理解が深まります。
※当ページは学習用です。業績は外部環境で変動します。ひとつの数字だけで断定せず、売上・利益率・要因(理由)をセットで確認してください。